私の知り合いの話、ということにしておきます。フィクションのような、田舎のクズ農家の話です。

とある田舎町に住んでいた知り合い(A子さん)には、地元で仲のいい女子高生のB子がいました。
ある時から、B子がぱったりと顔を見せなくなり、不思議に思っていたある日、B子が農家の50代独身男(農男)に田んぼで襲われたという近所の噂を耳にしたそうです。

A子さんが詳しい情報を周囲に聞くと、B子が田んぼのわきを歩いている時に、農男から、「ポケットの中でケータイが鳴っているけれど手が泥だらけで話せない。代わりに電話を取ってくれないか」というような事を言って、親切に近づいたB子を無理矢理乱暴したそうです。

しかもトラクターのエンジンを思いっきりふかし、悲鳴も聞こえないようにしていた、完全な計画的犯行でした。

農男は暴行犯でありながら、「傷物にして悪かったので責任取って嫁にしてやる」と、男の母(農婆)と2人でいけしゃあしゃあとB子の家に乗り込んだそうです。

信じられないことに、近所のオバサン達は口々に、「農男の嫁になるのがあなたにとって一番良い道よ」「あなたが彼の嫁にならない限り、どこへ逃げても噂されるよ」「彼の嫁にならなかったら、一生田んぼで強姦された娘だって言われ続けるのよ」等、酷い言葉を浴びせたそうです。

嫌らしいのは、これらの訪問が、B子の父親の留守を狙って来ていた事。B子は晒し者にされながら、耐えることしかできませんでした。

A子さんはB子の家に様子を見に度々行きましたが、誰も鍵をかけないような田舎なのにガッチリ施錠されているし、夜も電気は点いていないし、呼び鈴を鳴らしても無反応だったので、引き返すしかなかったそうです。

A子さんが何もできずにいる間にも、オバサン達の嫌がらせとも言える行動は続き、とうとうA子は気が触れてしまいました。

ある日、奇声をはり上げ、全裸に近い格好で、ペンのようなものを手にして身体中を刺しながら走り回るB子と、泣きながら必死でそれを追いかける母親の姿を近所の人達が見たそうです。

その後、B子一家は父親だけ残して他県に引越ししていったとの事。B子は精神病院に入院したという噂です。

それからしばらくして、A子さんは事件をきっかけに家を出て街で一人暮しをしていますが、実家に用事で帰った時、農男と農婆が、「あぶなかった。あやうくカタワつかまされる所だった」と言っていたと近所の噂で耳にして、憎悪のあまり倒れそうになったそうです。

「私があの男を殺しても世間が同情したら刑が軽くなるかなぁ」「ネットでこの男を好きにしろと言って住所とか晒したらどのくらい罰せられるかな」というような事をしょっちゅう言っていたほどでした。B子に起こったことを思うと涙が出ます。

一体、彼女はどんな気持で自分の身体を傷つけていたのでしょう…ネットで田舎や農家のことを悪く言うのを見かけることもありますが、この話を聞いて、本当にそういうこともあるんだなと信じられない思いです。