ちょっとシャレにならないぐらいの衝撃的な話。

二十歳の時に車の免許を取って間もない頃、父親の車を借りて近所を走るのが好きでした。特に行先も決めず、ただ楽しく一時間ぐらい走って、近所のガソリンスタンドに寄って満タンにしてくるというコース。


その日も走ってきて、給油しつつ缶コーヒーを飲んでいると、遠くの方からパララパラパラパララララ~って、ゴッドファーザーのクラクションが聞こえてきました。当時、暴走族のクラクションの音は大抵ゴッドファーザーだったんです。

「うるさいのが来ちゃったな。絡まれない内にさっさと帰るか…」なんて思っていたら…

キキキキキキキキ!!・・・・・・・・・グワシャーン!!
って凄い音が聞こえて振り向いたら、いかにもなデザインのセダンがひっくり返っている!

どうやらスタンド手前の曲がり角で、スピードを出し過ぎて曲がった直後にバランスを崩したらしい。

車はだいぶイカレていたけれど、運転していた若い男は割と元気そうで、運転席の割れた窓から這い出ようとしていました。どこかが引っかかっているのか、肩から上まで身体を乗り出して「助けてくれ~」という感じで、手を伸ばしている様子が見えました。

とっさに助けに行こうと駆け出そうとしたら、スタンドのおじさんが私の肩をがっちり掴んで私を止めました。直後…車がボワッと爆発音を上げて炎上!

スタンドのすぐ近くだから大騒ぎで、私もすぐ避難したけど…見てしまったし、聞いてしまいました。

男が炎に包まれる様子と断末魔の悲鳴。

それが脳裏に焼き付いて、トラウマになって車に乗れなくなりました。せっかく免許を取ったのに、それから15年近くペーパードライバー。

未だにゴッドファーザーのテーマを耳にしたり、あのセダンと同じ型の車を見かけると、ブルブル震えがくる時があります。