一生で一番怖い思いをしたときのことを告白します。

大学入学を機に実家を出て、ワンルームマンションで一人暮らしをはじめました。

ある日、寝てたら何か息苦しいんです。意識が夢か現実かあやふやの中、首が絞まっている感触。苦しい、ウーン、苦しい、何だコレは、ウーン苦しい、何だウーン…バタン!と言う音の前後にフッとそれがとけて、意識を失いました。


翌朝目が覚めると、息苦しさと首周りの違和感。アレは夢か?何だったんだ?と思いながら、何とも言えない気持ち悪さとさっきまでの感触で怖くなって、とりあえずキッチンで水を一杯飲みました。

コップを手に、ふと玄関のドアに目をやると…いつも掛けているチェーンが掛かっていない!しかも、カギも!!まさかとは思いつつ、怖いからそれ以上は考えずに掛け忘れたと思い込むことに。

実際、その後数ヶ月は特に何事もなく過ぎました。だんだん気持ち悪さも薄れつつあった頃…ある夜、熱が出て、だるくて夜の7時位から電気を消して寝込んでしまいました。

当時は近くのコンビニでバイトをしていて、普段は10時にはバイト先に行って朝までバイトでした。寝ているか起きているか、熱もあってぼんやり時計を見ると、11時過ぎ。

「もう11時か、普段ならもうバイト先だな」と思いながら、真っ暗な部屋で布団に包まっていると、玄関のチャイムが鳴ったんです。

こんな時間に訪ねてくる友達はいないし、本当にしんどかったので無視していたけれど、しつこく連続で何回も押してきます。

「何だよ、しつこいな…」音を立てないようにそーっと玄関に行き覗き穴から見ると、チノパンにピンクのシャツ着た少し中年太りの30前半の男が、なおもしつこくチャイムを押しています。

「誰だよコイツ…?」と思った瞬間!男が何か手にしたかと思うと、ゴリゴリゴリ!鍵穴にカギがささる音と同時に、カチャン。「カギ開けられた!?」が、チェーンがピーンと張りつめました。

次の瞬間、男は階段を勢い良く駆け下りて行きました。私は恐怖で追いかけることも出来ず、とにかく玄関のカギを掛け直し、ドアの前にイスやカラーボックスや、しんどいのも忘れて動かせるものをバリケードのように積み上げました。

警察に電話しなかったのは、パニックと熱のせいで頭がまわっていなかったんでしょうね。怖くて眠れず、次の日に速攻で実家に帰り、すぐにマンションを解約しました。

しかし、あの男は何故カギをもっていたのか?そういえば、一人暮らしをはじめて2ヶ月位で実家にカギを忘れて以来、合鍵を作って1階のポストの裏に貼っていたことを思い出しました。

調べてみると、やはりありません。何かの拍子に知った男が持っていったのでしょう。もしかしたら、それまでも私がいない間に入り込んでいたのかもしれません。

そういえば、時々記憶と違う場所に物があったり、支払いに用意したはずのお金がなくなっていたりしたことがあったような…ただ結局、首を絞められたのは、夢なのか現実なのかは今でも分かりません。

でも、今まで一度も味わった事のないあの感触は今でも忘れらず、それ以来、一人暮らしはしていません。