私には、これまでの人生で記憶と意識のない期間が、1年弱あるんです。

まず最初の数ヶ月は、社会人になりたての頃。年末に車で帰省していたとき、凍結路面でスリップした大型トラックと正面衝突して車は大破。


記憶にあるのはぐんぐん迫ってくるトラックと、必死にハンドルを切ろうとする気持ち。体が実際に動いていたかは定かではありません。

数ヶ月後、目を覚ました時にはしばらくパニックが続きました。手も足も骨折していて、まともに身動きもできませんでしたから。

複雑骨折のため、足は一部を人工骨に交換されました。後遺症で、寒くなると手術したところが痛みだすのと、子供が出来にくくなってしまったことが辛いです。

この事故は相手が責任を認め謝罪やフォローがあったので、辛くはあっても恨んではいません。

――それから数年後に、最悪の事態に見舞われました。

身体機能は回復していましたが、運転するのは怖く、私は極力電車や徒歩・自転車を使っていました。

今度は、スピードを出しすぎてスリップした、初心者マークの軽自動車が私を撥ねました。

実際は後ろからだったので、自分としては、撥ねられたらしい、という伝聞になってしまいますが。そして意識が戻ったとき、左腕は肘から先がありませんでした。

撥ねた車はそのまま私を引き摺り、逃げたそうです。その影響で左腕は切断。

起きたときに傍にいた私の両親はすっかり憔悴していて、そりゃ二度も意識不明になればそうなるよなあ…と、薬が効いていたのか、妙に冷静だったことを覚えています。

しかし、両親の憔悴の原因は別のところにあった、ということがリハビリの最中にわかってきました。

加害者は免許を取り立ての大学生。その親が相当なクズで、「息子には未来があるから謝罪はさせない。後は弁護士と話せ」また、直接的な表現ではないにしろ、「金を出せばいいんだろう」的なニュアンスのことも言ってきたそうです。

そんな甘い親だからか、大学生はその後、性懲りもなくスピードの出しすぎで自損事故を起こし、頭を打って軽度の知的障害になってしまったとか。
家庭内暴力もあるそうなので、親も大変でしょう。

こんなことを言うのは人でなしかもしれませんが、正直、ざまあみろという気持ちです。