高1の時、クラスにふわふわの巻き毛で天然茶髪のA子と言う女の子がいた。

うちの高校はパーマ禁止が厳しかったから、もともと巻き毛のA子は女子の羨望の的だったが
耳の下で巻き毛を指にクルクル絡めながら、ちょっと小首を傾げてぶりぶりするしぐさの彼女を私は内心ウザーと思っていた。

その彼女があるとき、教室でみんなの前で堂々とB君に告白。きっとOK貰える自信があったんだろうと思う。しかしB君は「ごめんなさい」。

真っ赤になったA子、好きな子がいるのか?誰だ?教えろと迫り、その迫力に負けて同じクラスのC子だとゲロる。

C子は日本人形みたいに真っ黒でツルッツルの直毛の女の子。あまり目立たない子だったけど、いきなり話題の中心になってビックリしながらも彼女も「ごめんなさい」。

あとで分かったんだけど、C子には他校に彼氏がいたらしい。みんなの前で恥をかかされたA子、下僕を従えて放課後C子をトイレに連れ込み、家庭科の裁ちばさみでC子の髪をほぼ坊主状態にまでザンバラに切った。

C子はショックで暫く学校を休んだ。C子の親が学校に抗議しにきたけど、C子のご両親は割とおとなしい感じの人で、弁の立つ生活指導の先生に丸め込まれたらしく、A子とその下僕たちは何か罰せられた様子もなく(普通に学校に来てた)、C子だけが転校していった。

そして当然納得いかなかった他校に通うC子の彼氏がA子を襲撃。と言っても襲うとかではでなく、A子の頭もバリカンでつるつるに刈りあげた。

そのあたりのことはあとから噂できいたことだけど、確かに突然A子が半月ほど学校を休み出てきたときはちょっと不自然な感じの髪形になってて、ふざけた男子が引っ張ってウィッグとバレた。

ウィッグをとったA子の頭は天パだっただけに、ベリーベリーショートになるとまさに大仏。そして、A子がC子にやったことで既に羨望の的から軽蔑の的に落ちぶれていたA子だったが“可愛い”と思われていたのは髪型マジックだっただけで、実は結構なおブスさんだったことが判明し軽蔑の的から更に落ちぶれて嘲笑の的になっていた。

実は私が彼女を最初から嫌っていた理由というのが、入学して間もない頃に、私の真っ黒の癖毛を「汚い癖毛、そんなんじゃ恥ずかしくない?」って言われたから。

私の一番のコンプレックスをそういって笑ったA子のことが大嫌いだったから、私自身は傍観者でしかなかったわけだけど。