社会人になってすぐです。都会の片隅にある社員15人くらいの小さな会社で働いてました。社長は気のいいおじさんで、社員は男女同じくらいで年齢も色々。

入社3年目で、社長の知り合いらしい中年男が入社。すぐに役付きになって社長の手伝いみたいな仕事を始めたんです。

そこから、本当に何だかわからないんですが、会社がおかしくなりました。

社長と中年男の力関係が、いつの間にかに逆転。実質社長の座に付きます。

中年男の朝礼は恫喝と自己啓発みたいな内容で、聞いてると気分が悪くなりました。
「昼食食べに行こう」
「休日ゴルフやらないか」
などなど、中年男に誘われるようになったんですが、逃げ回りましたね。

元々、自分は人づきあいの悪い性格でしたんで。会社の人のプライベートにも疎かくて…。気がついたら、社員全員で休日をどこだかで一緒に過ごすようになっいたみたいです。

そして中年男は、数人の女性社員に対して職場で公然とセクハラ三昧。しかも、嫌がるどころか微笑んでいるようで…。

何というか、本当にみんなが中年男にうっとりする変な職場に変わりました。当然仕事は滞り、自分の仕事だけは激増して連日深夜残業です。

あまりの異常ぶりに、就職難でやっと正社員で入れた会社だったけど、辞める決心をしました。

辞める話を中年男と社長にしたんです。すると…。「明日、軽井沢の方でキャンプをやるんだが朝早くここに来れるかい」そう真顔で言われました。何故だか、その時の顔が怖くて今でも夢に見ますよ。

辞めて十数年経った最近。家族でお出かけしてる途中で、この会社があったビルの裏を通りました。その時の警備員だった顔見知りのお爺さん(稲川○二似)がまだいて、驚いて話しかけたんです。

お爺さんは笑いながら…。
「あんたのこと覚えてるよ~、あの会社あの後大変なことになったんだよ~」
「警察も来たんだよ~でもね~みんな一緒にまたどっか行ったんだよ~」
「えらい変わった様子でね~」
「そういや家庭があった人はみんな離婚したらしいよ~」
「なんかあれ思い出した、何とかの笛吹、なんだっけな~」
「だからあんた、早く逃げてラッキーだったな~」
「良かったなーってずっと思ってたんだよ~」
そう言ってました。

家に帰ってネットで調べたけど、その会社の出来事はわかりませんでした。そんな大事件ではなかったのでしょうか?