大学時代の話を報告します。ショッピングセンター内にあるチェーン店の貸衣装兼写真スタジオでバイトしてました。元々カメラが好きではじめたバイトでした。長く続けてたので店長不在でも任される事が多かったんです。

その日、Tシャツ短パンのボーイッシュな女の子とパパが来たんです。2歳前位で歩けるけどまだちゃんと話せない感じの子でした。

パパと娘の組み合わせなんて珍しいなぁと思いましたが、父子家庭かもしれないし、詮索はしない方がいいかなと何も聞かずに普通に接客。これが失敗の始まりでした。

パパが可愛らしいドレスを着せたいみたいでノリノリで選んでいて、お茶目なパパさんだなぁくらいに思ってましたパパは終始「可愛い!」って連呼して大興奮。子供の方はかなり恥ずかしがってモジモジしていました。

2回くらい着替えてアリス風やらお姫様風のドレスを着せて、短髪の上にはティアラやリボンをかぶせて写真撮影も終盤へ。すると何やら受付あたりが何か騒がしいんです。お客さんに断って行ってみると、30代の夫婦がが警備員を連れて押し問答してました。

話を聞いてみると男の子の迷子を探しているそうです。現在撮影中なのは女の子だし、そもそも親子で来てるし…。私は「迷子は来ていませんね」と説明しました。そしたら撮影中の子供が「ママー」と言いながらドレスで走ってきました。

子供を連れてきた筈の「パパ」が、警備員の横をすり抜けてダッシュで逃走!警備員と夫婦の旦那が追いかけてる間に奥さんから話を聞いてやっと状況を理解できました。

ドレスを着せた子は目の前の夫妻の息子さん。ちょっと目を離したすきに連れ去られたようです。そして、警備員同行でテナントを片っ端から探してやっと見つけたってことらしいです、

結局男は捕まって、警察に引き渡されました。母親と息子さんはそのまま警察へ一緒に。店長が非番で電話も繋がらないのでエリア長が来てくれることになったんですが、来るまでの小一時間にまた一騒動。

なぜかその父親に私が怒鳴られ続ける羽目に…。
「儲けのために誘拐犯から金を貰うのか」
「かくまおうとしたお前も共犯だ」
「なぜ男の子だって気づかない!」
「息子がトラウマになったらお前の責任だ」

攫われた男の子が一番の修羅場なんだろうけど、30分以上土下座で罵声を浴びせられ、悔しく泣いたのが自分の修羅場でしたね。着替えさせるときにパンツが男物で「アレ?」って思いはしました。それこそ詮索なんてできませんよ。「お客様」のことですから。

翌日、エリア長から電話があって謝罪に同行しろと言われましたがムカついたので店長に電話してそのまま辞めました。

結局その捕まった犯人は変わった性癖のヘンタイだったようです。ただ性犯罪を犯したわけでもないし営利目的の誘拐でもないので執行猶予がついたらしいです。しかし、野放しなんて怖いなぁ。