私は地元大学の学生で、幼馴染のA子と一緒に学生生活を送っていました。
ちなみA子は美人で性格も良いんですが、残念ながら愛想のないタイプ。

A子の家は地元では誰もが知ってる名士の直系で、今現在現役バリバリの方の孫娘。
それを知ってA子に近づこうとする人があまりに多く、そのため、知らない人には自衛のためにつっけんどんな態度を取ったり、親しくなるまで他人行儀なところがあるんです。

いわゆる「おっとり系のお嬢様」とはちょっと違うので 誤解されることは多々ありました。

3年になって私と同じクラスになったD子が「A子さんと親しいんでしょ?三人で遊びましょうよ」 と言ってくるようになりました。

A子の実家と関係が持ちたくて、そう言ってくる人は初めてじゃなかったし、不用意に誰でも近づけるとA子に迷惑がかかりますから、私は「あ~今度ね、機会があればね~」と適当にかわしていました。

私は当時、バイト先で知り合ったB男といい感じになっていたんです。
まだ完全に付き合うところまでいってたわけじゃないですけど、毎晩メールしあって…
「いま好きな人いる?」
「誕生日はいつ?」
「今度あの新しくできたお店いこっか」
などなど、いわゆる「探りあいメール」をするところまでいっていました。

そんな中、B男に「お互い友達集めて海行こうよ」と誘われました。
私はA子をまじえた友人三人に声をかけ、B男が集めた男子三人とみんなで海へ。
その日は泳いだり、バーベキューをしたり、花火したりして楽しく終わりました。

所がその後、なぜかB男の態度が急変。
メールがぷっつり途絶えてしまい、バイト先でもただただ事務的な態度を取られ…。
「あれ?」と思ってるうちに、B男はバイトを退職。

正直残念でしたけど、まだ本格的に付き合う前だったし、傷は深くなかったのですぐ諦められました。

しばらくしてA子と共通の友人から「B男って知ってる?」と連絡が。
「前のバイト先で一緒だったよ」
「なんかその人、A子にストーカーしてるらしいよ」
と言われ、びっくり。

A子にその件を訊いたら、私の紹介で知り合った相手だし、私から「うまくいきそう」なんて話もしてた人だったので相談しにくかったらしいです。

A子の性格をよく知っている私としては、逆に申し訳なかったです。
それ以来、いやな予感がしたので私はなるべくA子と一緒にいることにしました。

A子宅の運転手さん(名士の家柄ですから)がいない時は、私がA子を車で移動させたりもしました。

B男は他県出身だから油断してましたが、苗字でA子が名家の子だとわかる可能性は十分にありました。
そうとわかった男が、途端に豹変する例もいままでに何度か見ていたので、本当にうかつでしたね。


ある日のこと。
私が大学敷地内の駐車場にある自分の車まで歩いていたら 突然横から出てきた何者かに殴られました。

それまでの人生で殴られたことなんかなく、正直恐くて声も出ませんし、押さえつけられてバッグを奪われてしまいました。相手は複数でした。

地元は田舎ですし、大学は山の中。駐車場は校舎から離れていて人気もありません。

「殺されて埋められる!」
そう一瞬考えました。
私はうつ伏せにされて背中に馬乗りになられて、何度か殴られて気絶…。

その後、砂利の上で大の字になっているところを、大学の警備員さんに発見されて保護されました。

ちなみに私を襲った犯人グループは、私から奪った携帯でA子にメールし、A子と待ち合わせして拉致ろうとしたらしいです。

でも用心深いA子は、メールの文面で私じゃないと気づいて、犯人グループには行く時間をずらして返信。

その間、「私が襲撃された」旨の報告がA子とA子宅に届いたようです。
待ち合わせ場所には事前に警察官が待機。それを知らずに現れた犯人グループはあえなく御用となりました。

なんと、犯人グループの正体はB男、C男、D子でした。
自供によるとC男が主犯で、彼は以前からA子が好きだったみたいです。

以前、A子に告白もしたようですが、断られて、諦めきれないC男は、昔から友達だったB男を仲間に引き入れてとのこと。

B男がストーカーだと思わせようと表だって家のまわりをうろつかせたり 電話攻撃させたりと仕向け、A子のことをよく知らない他県出身のD子と付き合って、A子のことを色々悪く言ってD子を操り、A子誘拐の手先の一人になるように画策したようです。

とくにD子はA子のことを知りもしないのに

「いやな女。金持ちを鼻にかけてるいやらしい女だ」
「あんなこともされた、こんなこともされた」

そう事実無根の供述をしているようで、どうやら嘘ついてるうちに自分でも本当だと思いこんでしまっているみたいでした。
その後、D子の両親は地元にいられなくなり引っ越していきました。

C男は「貧乏人が貴族の女に惚れたら追放されるのか!」とわめいていたそうですが
「そういうことじゃない」
「いやがられてる理由は他にあるだろ、気付け」
「そんなことされて好きになる女いるか」
そう周囲の知人に言われて逆上し、そのまま行方不明になりました。

事件後、B男は私に執拗にメールを寄越してきました。 でも無視してたらそれもやみました。

今回の事件の裁判で、C男とB男は前科がついたらしいです。殴られた時に歯が折れた私としては「因果応報!」といったところです。